ベトナムと日本の架け橋に。明るく、笑顔のあふれる職場

経済連携協定(EPA)のベトナム介護福祉士候補者6名
- 施設
- 特別養護老人ホーム 愛成苑
左から
ニーさん 平成30年から勤務、1年目
ハーさん 平成29年から勤務、2年目
フオンさん 平成28年から勤務、3年目
ホアさん 平成28年から勤務、3年目
トゥイーさん 平成30年から勤務、1年目
アインさん 平成29年から勤務、2年目
日本政府の経済連携協定(EPA)制度に基づき、平成28年から現在までに愛成苑では6人のベトナム人女性が介護福祉士候補者として働いています。
彼女たちは就職前にベトナムで1年間、日本語と介護の勉強を学び、日本語技能試験N3程度を習得してから来日しました。現在は継続的に日本語の勉強を行いながら、国家資格である介護福祉士の取得を目指し、働きながら勉強をするという忙しい日々を送っています。
この職業を目指し、日本を選んだきっかけは?
ハーさん: 先に同じ大学の先輩のフオンさんが愛成苑に勤務(平成28年から)していて紹介してもらいました。フオンさんがフェイスブックで日本の様子を伝えてくれていたので、それを見ていて楽しそうだなと思いました。
私とアインさんは大学で同じクラスメイトで、一緒に愛成苑を選びました。
私たちが行っていたハノイの大学は看護の四年制大学です。私はもともと専門性のある職業を選びたいと思い、両親や周りの人たちから看護の人気があるというアドバイスをもらって、看護大学を選びました。
ニーさん: 小さい頃から看護師になりたいと思っていて看護大学に入りました。
日本の情報は看護大学時代に友達から聞いて知り、紹介してもらいました。
アインさん: すでに日本に行っていた先輩のフェイスブックを見たり、他のメディアに出ている情報を見て日本を選びました。ベトナムでは日本は有名で、支援制度もあり人気です。
ベトナム国内では働き口が少ないので医療、看護を学ぶために海外へ就職することが多く、私も日本で就職することを選びました。
トゥイーさん: 他のみんなと同じ理由ですが、日本を選んだ理由は、友達から聞いたりしていて、日本のことが好きなので選びました。

日本で戸惑ったことなどはありますか?
アインさん: ベトナムで日本語を勉強してから来日しましたが、1ヶ月ほどは聞き取れても返事が上手くできなかったことがありました。習った日本語と実際に使う日本語では違いがあって、上手く話せない部分があるので、そこを分かるようになりたいです。
ハーさん: 私は日本に来て2ヶ月間は研修を受けていましたが、ホームシックになり寂しくなりました。電車などの公共交通機関で乗り物酔いになってとても辛かったです。今は慣れて酔わなくなりました。

施設にきてうれしかったことは?
ニーさん: 日本に来てすぐは馴染めず大変でしたが、施設のみんなに助けてもらいました。みんなとても優しかったです。
日本語や日本の生活習慣を教えてくれたことが嬉しかったです。
ハーさん: ベトナムで日本語を習ったあと半年ほどブランクが空き、その後に来日したので日本語を忘れてしまっていました。でも、施設の方がすごく優しくて、ゆっくり話してくれたのでよくわかり、とても嬉しかったです。
今までいちばん嬉しかったことは、仕事の日誌での日本語の間違いを丁寧に指導してくれたことです。
アインさん: 日本での新しい生活を心配していましたが、日本での生活がしやすいよう周りのみんなが心配りしてくれました。
最初は石鹸などの日用品を事務長が揃えてくれて、買い物にも付き合ってくれました。

仕事の中で大切にしていることは?
アインさん: コミュニケーションです。
ゲストさん(利用者)の中には目があまり見えない人もいますし、認知症の人もいます。一人ひとり接し方も違いますから、コミュニケーションをしっかり取るようにしています。毎日接することで利用者さんの状態をだんだん覚えていきました。
ハーさん: 私はゲストさんが自分らしい生活を送ってほしいと思っていて、それを大切にしています。普段はあまり外出ができない状態のゲストさんたちの思いを汲み取って、散歩やイベントでの外出を積極的に行っていきたいと思っています。
ニーさん: 私もコミュニケーションです。ゲストさんたちだけでなく、施設の職員さんともコミュニケーションを大事にしています。コミュニケーションを取ることによって仕事が上手く行きます。気をつけていることは、目上の人に対して丁寧語を使うことです。
トゥイーさん: 私もコミュニケーションです。
人によって考え方も違うので、コミュニケーションを取らないと相手がどう思っているのか分からないし、失礼なことをしてしまうかもしれないので、コミュニケーションをしっかり取るようにしています。毎日仕事をしていく中で、ゲストさんの行動や会話の中から、好きなことなどをだんだん理解していっています。

皆さんにとって事務長や介護部長はどういう存在ですか?
アインさん: ベトナムでのマッチング(面接)で初めて会った際、事務長と(すでに愛成苑で働いている)ベトナム人の先輩方が明るくて優しそうで、とってもいいなと思って愛成苑に来ました。
生活で困っていることを色々手伝ってくれるし、帰国する時は羽田まで送り迎えに来てくれて、”お父さん”のような感じです。
部長はプライベートの話を気楽にすることができます。日本語を教えてくれたりします。
日本に来て間もない頃に、慣れなくてニキビができた時、皮膚科に連れて行ってくれました。
トゥイーさん: 事務長は私達の生活に心遣いをしてくれて、何か困った時に相談しやすい存在です。色々手伝ってくれます。通勤で使うバイクを一緒に探してくれたり、新しい住居に引っ越す際に重たい荷物を持って運んでくれたりしました。
部長とは冗談を言い合いながら話すことができるので、ストレスが解消できます。とっても話しやすいです。
ハーさん: ベトナムの面接で会った時の第一印象が良くて、明るく優しいので日本での仕事や生活がしやすいと思いました。色々なことを手伝ってくれるのでとても頼りになります。日本人は厳しい感じの人が多いと感じていましたが、事務長は笑顔で優しいのでとっても接しやすいです。
部長は施設のゲストさんのことを全員把握していてすごいなと尊敬しています。
ニーさん: ベトナムで面接の際に会った時、明るくてカッコイイと思いました。
事務長の日本語はわかりやすくて、私達の言葉もわかってくれます。困った時に相談しやすい方です。
部長は時々みんなを好きな食事に連れていってくれます。とっても接しやすくて話しやすく、楽しいです。

これから先の目標について。
介護福祉士の資格を目標にしていますが、取得後は?
第1期生のフオンさんとホアさんは1月に介護福祉士の試験を受けることができます。
アインさん、ハーさんは来年度、ニーさんとトゥイーさんは再来年度に試験を受けることが出来ます。
アインさん: まだ先のことですが、試験に受かっても日本に残って仕事を続けて行きたいし、ゆくゆくは家族も呼んで暮らしたいと思っています。
ハーさん: まだイメージは湧かないけど、試験に合格してもこの仕事は続けて行きたいです。
ニーさん: 試験に受かっても仕事を続けて行きたいと思っています。
トゥイーさん: 私も試験に受かっても仕事を続けて行きたいです。
日本語の技能についてはどう考えていますか?
アインさん: 私は足りないと感じています。
介護関係の専門用語もですが、日本人同士の会話中にも分からない言葉があります。あとで人に聞くこともできますが、その場で理解できるようにもっと上達したいと思っています。
ハーさん: 学校の勉強で満足していますが、自分で復習をしないと意味がないのでそこを気をつけています。

これから入ってくる後輩たちへのアドバイスはありますか?
アインさん: 最初は人間関係を大事にした方がいいです。
ベトナムと日本では風習が違います。挨拶もベトナムなら仲良くなれば笑顔だけでOKですが、日本は声を出して挨拶しないと失礼になるので、そこをしっかり勉強すると良いと思います。
トゥイーさん: 日本に来る前に、施設の情報をしっかり調べておく方がいいと思います。
また、ベトナムとは文化も礼儀も違います。声掛けを忘れてしまうので、そこをしっかり勉強することが大事だと思います。
ハーさん: 日本に来る前は日本語と日本の文化の勉強をしっかりすることです。日本語が上手ならば仕事もやりやすいですし、コミュニケーションも積極的に取れるようになるので、時間がある限り日本語の勉強をするといいと思います。
ベトナムと習慣が違うので日本の習慣を勉強することは大事だと思います。
ニーさん: ベトナム語で運転免許証の試験を受けることもできるので、ベトナムで免許を持っている人は持ってくるといいです。
施設の人から
事務長 副施設長 平本秀真さん(左) と介護部長 高久正信さん (右)
みなさんに、どんなふうに成長していって欲しいですか?
部長: みんなにベトナムと日本の架け橋になってほしいと思っています。
EPAを受け入れて今年度で3期生になりますが、これからいろいろな人達が増えて行くと思いますし、EPAだけではなく、いろいろな人と一緒に働いていくことになると思うので、みんなの見本になってもらえればと思っています。
私たちは介護する側もされる側も日本人同士なので『分かっているつもり』でいることが多く、それでトラブルが生じることもありますが、みんなは日本語や日本人がわからないので素直に聞いて確認する。緊密なコミュニケーションの大切さを彼女たちに教えられることも多く、介護の現場にいい影響を与えてもらっています。
みんなの行動で日本人職員も影響を受け、利用者さんのことを『分かっているつもり』ではなく、細かい所に気付けるようになって、いい方向に向かっていっています。
勤勉で真面目で一生懸命な姿を私たちも見習おうと思い、相乗効果につながっています。
事務長: EPA候補者のみんなはベトナムの時点でみんなN3程度の日本語能力試験を突破して来てはいます。しかしそれでも言葉や習慣の壁にぶつかり、大変なことも多いと思います。
しかしそれらは日本で働いていくうちに解決していく問題です。日本での生活などで困っていることはなるべく取り除いてあげて、日本で仕事を続けてもらいたいと思っています。
みんなはすごくいい笑顔をしています。笑顔は世界共通の大切な言語です。ゲストの方々に安心できる笑顔で接し、みんなにも笑顔で仕事を長く続けてほしいと思っています。
ゲストや、その家族からも好評です。すごく努力していますし、ゲストの方々の話をしっかりと聞く、それがとても喜ばれています。それは私たち日本人が見習って行かなければならないと教わる部分です。
日本人の職員たちもみんなを見守り、支えていこうとして団結力が生まれ、チーム一丸となって仕事に取り組んでいて、職場の雰囲気もとてもよくなっています。明るく、笑顔で、みんなでやっていけたらなと思っています。


特別養護老人ホーム 愛成苑のご紹介
経営主体:社会福祉法人 愛成会
〒246-0003 神奈川県横浜市瀬谷区瀬谷町4131-16
電話:045-300-0881(代表)
ファックス:045-300-0883
http://www.aiseienn.jp/aiseien02/TOP/top.html
定員:100名(入居90名、ショートステイ10名)ユニット型
介護老人福祉施設において日本で初めての全壁面緑化システムを採用した緑豊かな施設です。
施設内には訓練されたかわいいセラピー犬のジュニア(ラブラドールレトリバー)がゲストの方々を癒やします。
薬剤師が常駐し、いつでもお薬の相談ができます。